プライヴェートライアンのEarn this,Earn itの件

プライヴェートライアンというスピルバーグ監督の映画があってそれはそれは素晴らしい映画であります。まずは軍装マニアのスピルバーグが完璧に当時のアメリカ軍、ドイツ軍の装備を実現し、人体に弾丸なり爆薬が炸裂した様子も忠実に実現してしまいやがって、おかげで冒頭のノルマンディー上陸シーンで離脱する人が多出、いきなり観客を容赦なく選別するという仕掛けがあることですマジで見ろよ、現実をオラオラッ!とスピルバーグ先輩はブッこんでくる訳です。

もう1つは、やはりトム・ハンクス扮するミラー大尉の葛藤で、かつそれをトム・ハンクスがそれを100億%理解していることです。彼は教師でつまり国の未来を育てる仕事をしたわけでそこに彼の誠があった。ところが忌々しい戦争が起こって自分の顔も知らぬ同僚が育てた部下である兵士を時には殺してしまう仕事に就いて、かつドイツ側の異国の同僚が育てた兵士達も容赦なく殺す日々を送っているわけです。

そこに、前線のはるか向こうにいる同国人ではあるがある1人の二等兵を探し出して連れ帰るという無理な任務が降ってきて引き受けます。それは分隊の限りない損耗が前提の任務であってミラー大尉の苦悩はマックスになっていきますがそれを部下の前で口に出すことはしないです。が態度や表情には表れていてそれが中盤のヤマ、ミラー大尉がトム・サイズモア扮するホーヴァス軍曹との対話です。失った94人の部下の話をするのですがその解釈をミラー大尉は話す。そのニュアンスは映像を見ないと伝わらないので、もう一回見てください。

映画は展開していってやはり順調に部隊の損耗は進み兵士たちは死んでいきます。そして分隊はやっと絶望的環境にいるライアン2等兵を見つけます。ライアンはミラー分隊が失った人員に値する人でありました。帰還を拒否するライアンに対し共に闘う選択をしたミラー大尉達であります。

そしてミラー大尉は最後の言葉「Earn this,Earn it」を残して戦死する。「無駄にするな、しっかり生きろ」と訳されています。この訳にあたっては超ご苦労されたと思われます。

この裏には「俺は図らずもこの忌々しい戦争で教師から人殺しになって敵どころか部下までも殺してきた。今回の任務でもやっぱり部下を殺しちまって俺自身も死んじまう。だが目の前にお前がいる。だからお前は生きながらえて俺や死んでいった俺の仲間達の命に値することをやってくれ。頼む。」ということだと思います。そして残ったライアンは家族や仲間を増やしより良い世の中にしていったと推察されます。

でも初めてあった奴を好きになって命をかけてそして死んでしまって、そんな言葉を残すなんてフィクションの世界だと思ってしまいますが、案外こういう組み立てで世界は承継されているんだと思います。よく見渡してみましょう。真の偉大な人生っていうのは、先人の想いを引き継いでより良い世の中にしていくことで、デカい会社を作ったりデカい建物や街を作ったりすることはあくまで結果であるという事を。

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