左袖に黒い刺繍のバーバリーロゴが入っているコートを着ている男を見た。結構ロゴはでかいのだがコートの色と刺繍の糸が同色なので遠目にはわからない。近づくとロゴを認識できるのだが彼は承認を欲しがっているんだなと感じた。
こういう人がキャバクラとかクラブに行くと絶好調承認されまくってハマるんだろうな。そういうポイントは彼女たちは見逃さない。
ではなんで彼は承認を求めていると感じたのか。まずバーバリーのコートは20万円くらいだ。20万円のコートはまあまあの値段。そして大体バーバリーを着ている人はあの柄が一目でわかるようなワンポイント効いてるヤツを好む。この人達は頑張って用意したお金でバーバリーから承認してもらっていて無邪気だ。彼らは「かっこいいだろうこれ?」ぐらいを自分の内面にとどめているからだ。
だがあの彼は「なんの変哲もないコートだと思っただろ?でも違うんだよ。良くみろよ。バーバリーなんだ。バーバリーだぜ?こんな見た事のないコートをチョイスしている俺ってどおよ?」という強烈な承認欲求を撒き散らしている。内側に留めることなんか到底できない。もし本当にバーバリーのコートが好きだったらその刺繍を抜けばいいのだ。
ここにブランドビジネスの本質がある。それは
1.世の中の平均価格の2-3倍ぐらいで質が1.5倍ぐらいのエントリーモデルを作る。クオリティを2倍してもユーザーにはわからない。わかるユーザーには高額なオプションを用意する。基本儲かるので広告予算をふんだんに投入できる。
2.ユーザーには仰々しい承認をブランドは与え続ける。
3.ユーザーがブランドを利用してユーザー自身が他人から承認をもらえるような仕組みをつくる。
この3.まで行けばブランドは成功する。でもなかなかいけない。
だからバーバリーは絶好調だろう。
でもブランドってアタマの中にしかない事に気がついている人は多い。