紀元前600年前後にはイラン高原にいた古代アーリア人にはゾロアスター教は定着していました。がその起源は最大紀元前1500年前まで遡れるが定かでなないそうです。ゾロアスター教はゾロアスターさん(ザラスシュトラ)が唱えた光の神アフラマツダの作った宇宙を闇の神アーリマンが奪いに来てその攻防が繰り広げられているという教え。そして3000年毎に決戦があって当時は闇の神が支配していてなんと今度来るべき12000年目は最後の決戦なのでアフラマツダが必ず勝つ。だから決してアーリマンに屈してはならないというノリだった。その事を伝えるために善の神アフラマツダは私ゾロアスターを遣わしたのだ!なのです。あ預言者と予言者は違いますからね。預言者は神の言葉を預かっているいう意味で歴史上の人物はこちらの意味です。この最後の審判という思想はその後ユダヤ教・キリスト教・イスラム教にも取り入れられました。
さて時代がくだり起源200年過ぎにマニさんが出てきました。マニさんは徹底した善悪二元論を唱えました。ゾロアスター教も光と闇の二元論なのですがその違いはゾロアスターは全ての人間を含めた生き物を善と悪に分けました。例えば家畜やイラン人は良い生き物、蛇や虫やトカゲやローマ人は悪い生き物。なので悪い生き物は闇の神アーリマンの代理人なので見つけたら即殲滅すべし!なのです。
ところがマニさんはいやいやそんなはっきりと分けられるワケがない。同じ生物ましてや人間なぞ良い悪いなど線引き出来ない。私の考えはこうだ。この世の物質的なモノは闇の神が作った。そして魂のような目に見えない清らかなモノは善の神が作った。この世の人間の不幸は闇の神が作った物質=肉体に神の作った魂が封じ込められていることにあることによる苦しみから発生している。だから魂を肉体から解放せよ!そのプロセスは食べるな・禁欲せよ・肉を喰うと更に肉体が影響を受けやすくなるので野菜を喰え。肉体をいじめるのだ!そしてゾロアスター・キリストもそうであったように光の神はその事を伝える為に私マニを遣わした。そして私マニが最後の預言者である!というワケです。
あとマニ教の面白いところは旧約聖書を否定しているところです。つまり聖書は2つある。何故か?それは神が2人いるからだ。旧約はヤハウェ・新訳はキリストだ。その証拠として旧約の創世記においてヤハウェは7日目に泥から人間を形つくってアダムと名付けた。泥は汚れている。そこから人間をつくったヤハウェは悪魔である!です。
そして人間を肉体と魂に分けて肉体は有限で魂は永遠という考えは仏教の教え。でそこに当時のオリエント世界の根底にあった宗教観を取り込んでいるのがマニ教なんですね。
ところが究極子供を作るな!という教えなのでペルシアでは弾圧されてマニ教徒は西と東に表向きキリスト教徒として逃げます。西に行った人たちはキリスト教カタリ派として南フランスのアルビを拠点として布教を始めローマ教皇を悪魔呼ばわりしたので殲滅されてしまいます。カタリはとギリシア語で「清らかな」という意味です。
一方東に逃れたマニ教徒はウイグルの官僚として活躍していたソグド人の庇護を受け結果ウイグルの国教になりました。
中国に行った人もいました。彼らは仏教と結びついて白蓮教として発展し元末期の黄巾の乱で大きな働きをしました。その次の時代の「明」は光の神に使えるという意味でした。
更に時代がくだると白蓮教は日清戦争後に義和団の乱を起こし清はグッバイとなります。マニ教がわからないと世界史がわからないというのは本当だと思います。
そして現在。同じような宗教や考えってありませんか?